マゴットセラピーとは
マゴットセラピー(MDT:Maggot Debridement Therapy:マゴットデブリートメントセラピー)とは、蛆(うじ)虫治療のことで、糖尿病による足の壊疽(えそ)・壊死(えし)の治療や、床ずれなどによる重度の褥瘡(褥瘡性潰瘍)の治療、やけどなどによる重度の炎症治療に使われる治療法です。

マゴットこれまでにも、足の切断を余儀なくされた患者の治療に用いられ、治癒した結果、高い確率で足の切断を回避しています。

難治性潰瘍に無菌マゴットは非常に有効

三井秀也医師「糖尿病などで足の血流が悪くなると皮膚にできた傷が悪化し潰瘍になる。抗生物質で治療するが耐性菌が出現し、なかなか治らない場合もある。

最悪の場合は足を切断する。これに対し、近年、欧米などで注目を集めているのがマゴットを使った治療方法。幼虫が壊死(えし)した組織を溶かして吸い取り、殺菌もする。
多くの方が足を切断せず、歩けるようになり、良好な結果が出ている」

ツカサギ病院 心臓血管外科 副委員長 三井秀也医師

症例

マゴット治療の長所

  1. 禁忌症例がほとんどない
  2. 麻酔が不要
  3. 副作用がほとんどない
  4. 壊死組織のみが除去される

外科的治療とマゴット治療の比較

外科的治療 マゴット治療
外科的治療 マゴット治療
壊死組織を切除する。
周辺の正常組織も切除する。
(出血、疼痛)
処理は不完全。
消毒する(1日5分)
壊死組織(死んだ蛋白質)のみを分解し
除去する(センサー)
出血しない。痛みなし。
24時間働く、処理し続ける(不眠不休)
文句を言わない。餌は患者の組織。

マゴット治療は数千年前から続く最新治療法

オーストラリアの原住民ハエ幼虫(ウジ)が傷治療に有効であることは数千年前も前より人々に広く認識されていました。
実際にはオーストラリアの原住民(Aborigines)は数千年前より創を清浄にするために、これを使用していました。

ビルマの伝統医は傷をウジ、泥と濡れ草で覆い治療していました。またアメリカ先住民(Mayan Indians)は、動物の血を漬け乾かした布で創を覆うことにより、傷にウジを湧かせて、傷を治療していました。近代にいたっては、戦争中、マゴットの涌いた創の方が速く治癒し、結果的にその兵隊は命が助かった事を多くの軍医は目撃してきました。

ウィリアム バゥア教授例えばウィリアム バゥア教授(ジョンホプキンス大学整形外科)は,戦地から帰って実際にマゴット治療を米国内で広めた最初の医者です。 彼の良好な結果は1931年に報告されています。

その後、抗生物質と外科治療が進歩した1940年代にいたるまで、マゴット治療は何千という医療機関で実践され、良好な結果を得てきました。

1990年代になり抗生物質の多用乱用により抗生物質抵抗性の感染性潰瘍が出現し、糖尿病、動脈硬化症等の潰瘍の原因となる疾患が増加、重症化し、これらの難治性潰瘍治療に難渋することとなりました。 そこでマゴット治療の有効性が再び脚光を浴びたのです。

英国では1995年NHS(国民健康保険)に、米国では2004年FDA(食品医薬品局)にすでに認可され欧米を中心に広く普及しています。

サラブレッド2010年現在世界40カ国以上にて難治性創傷の治療に取り入れられています。

国内においては2004年に岡山大学医学部心臓血管外科にて初めての治療が行われ、ジャパン・マゴット・カンパニーが生産する医療用マゴットが国内の医療施設においてMDTに使用され、良好な結果を得ています。

マゴットはサラブレッドにも有効だということが証明されています。JRA競走馬研究所にて競走馬ナイスミドルの蹄癌治療にも成功し、見事レース復帰となりました。以後、全国徐々にマゴット治療の関心が高まってきています。

安くて良質なマゴットを確保するため事業化

ベンチャー・ビジネスプランコンテスト当初国内では医療用のマゴットはなく『何とか国内で安くて元気なマゴットを生産できないか』と考え、国内での事業化しました。

岡山県産業振興財団が2004年11月に開いた「ベンチャー・ビジネスプランコンテスト」で最優秀賞(賞金五百万円)を獲得し、飼育装置の購入や創業資金に充てました。

ヒロズキンバエというクロバエを飼育装置で繁殖させ、特殊な方法で洗浄。医療機関からの依頼があれば、宅配便で送っています。

全国の潰瘍による下肢切断患者は年一万人以上います。
しかし、マゴット治療はほとんど行われていないのが現状です。
まず治療法を知ってもらい、普及させることによって、一人でも足を切断しなくて済む患者さんを増やしたいと考えています。

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